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格成分数とは

特許請求の範囲の記載に含まれている格成分の数です。

格成分数は、特許請求の範囲の記載に含まれている格成分の数です。格成分は、動詞による文の形成に必要とされる名詞句です。但し、この格成分は、単なる名詞句ではなく、動詞に係り受けする名詞(名詞句を含む)のうち、動詞による命題を実現するための動作開始条件となり得る要素です。

ここで、LED照明に関する特許の例として、

例1)「照明光を出射する発光モジュールと、前記出射された照明光を拡散する光拡散部材とを備える照明装置」を特許請求の範囲に記載する場合について考えてみましょう。即ち、この構成を発明特定事項として捉えて特許請求の範囲において定義する際には、構成要素 "発光モジュール" において、照明光を出射するという命題が実現されていなければなりません。そして、構成要素 "光拡散部材" により、照明光を拡散するという命題が実現されていなければならない。即ち、構成要素"発光モジュール"において"照明光を"という名詞句は、これが係り受けする"出射する"という動詞とペアとなり、その命題実現のための条件的役割を担うことになるため、格成分といえます。また、構成要素 "光拡散部材" において、"照明光を" という名詞句は、これが係り受けする "拡散する" という動詞とペアとなり、その命題実現のための条件的役割を担うことになるため、格成分といえます。

「格成分」は登録商標です。

各構成要素の命題の成否に対応させる考え方を取り入れた最小抽出単位として提案したものが、格成分数です。

このように単語の抽出の仕方そのものを、各構成要素の命題の成否に対応させる考え方を取り入れた最小抽出単位として提案したものが、格成分数です。格成分数は、あくまで単語数や名詞句数、文字数といった明細書作成者によって左右されるパラメータではなく、あくまでその発明を構成する個々の構成要素が自ら実現しようとする命題が同一であるか否かを判断基準とするものです。このため、格成分数は、明細書作成者間のバラつきを防止と、カウント精度の向上の双方を同時に実現できる点において有益です。

また、この動詞による命題実現のための条件数が増加するほど、実際に動作が開始されるまでに条件を満たすか否かの判断のステップ数が増加することになります。

図1でいえば、構成要素"発光モジュール"が「出射する」という動詞による命題実現のための条件数は、「照明光を」となっています。図1に示す条件を規定する格成分(四角いマスの数)が増加するに従い、その動詞句が係り受けする構成要素に該当する可能性が低くなることを意味しており、その可能性の低下した分、技術的範囲が狭まります。

図1 構成要素

以下の図2に示すように、「照明光を」という対象格に加えて、更に下線において示されている「○○の前面から」という起点格、「表示パネル面に対して」という終点格が動詞「出射する」に係り受けする場合を考えてみましょう。この「出射する」という動詞による命題実現のためには、「○○の前面から」でなければならず、「表示パネル面に対して」でなければならず、その分において技術的範囲が狭くなるのが分かります。

図2 構成要素

格成分数をカウントすろことにより、技術的範囲の広さに応じた数値化を実現することが出来ます。

このように格成分数(条件数)が、動詞による動作開始可能性、ひいては命題実現の可能性を支配し、これが技術的範囲の広さに影響を及ぼすものであるから、特許請求の範囲の数値化方法の最小抽出単位を格成分として、この動詞句に含められている格成分数をカウントすることにより、技術的範囲の広さに応じた数値化を実現することができます。

また、この格成分数は、単なる名詞句とは異なり、動詞が意図する命題実現に必要な条件を規定する名詞句のみを抽出するものです。特許請求の範囲の記載では、構成を限定する上で、以前実現された命題を繰り返して記載する場合が多いです。(例えば、「上記○○手段により送信されたデータに基づき」という文言が定義されていた場合に、データが送信されたことは、○○手段により既に実現されている命題といえます)。格成分数は、このような二重定義に基づく余分な名詞句を排除し、純粋に命題実現に必要な条件を規定する名詞句のみを格成分として抽出しカウントします。このため格成分数によれば、その技術そのものの限定度合をカウントする上で明細書の書き手の個人差を解消できるメリットもあります。

なお、この格成分数による特許の広さを数値化・定量化について限界があるとすれば、単語の概念階層(上位概念か下位概念か)についてパラメータに反映されていないところだと思います。例えば、通信装置と携帯電話は、互いに上位概念と下位概念の関係にあり、通信装置と定義した方が、携帯電話と定義するよりも概念的には広く権利範囲をカバーできます。携帯電話と定義した場合には、その権利範囲は、携帯電話のみしかカバーできず、タブレット型端末を通信装置として利用した場合にまで権利範囲に含めることができない可能性があるが、通信装置と定義しておくことにより、これらを全て権利範囲に含められる可能性が高くなります。つまり、特許発明の技術的範囲の広さは、文法上の構造単位の大小関係と、それぞれの持つ単語の概念階層(上位概念か下位概念か)の2つに基づいて決定されます。前者は格成分数を指標として用いることで高精度に検出することができますが、後者である単語の概念階層は格成分数により検出することができません。

しかしながら、当事務所による研究を通じて、検索母集団の技術分野を狭く設定することで概念間格差を小さくすることができることが明らかになってきました。

以下の図に示すように、特許発明の技術的範囲は、文法上の構造単位の大小関係(面積)と、単語の概念階層(深さ)の積で表され、塗りつぶされた立体の体積で表されるものとします。このとき、検索母集団を広く取り込んだ場合、例えばFI:A分野(生活必需品)全てを検索対象とした場合には、同じ生活必需品であっても、衣類、家具、食品からゲームに至るまで多岐にわたる特許が含まれ、単語の概念階層(深さ)の影響が大きくなってしまいます。これに対して、検索母集団を狭く絞り込んだ場合、例えばFI:A47B7/00を検索対象とした場合には、「剛性構造のテーブル」まで絞り込まれます。技術分野をこのように狭く絞り込むことにより、特許請求の範囲の記載においてテクニカルタームや単語が絞り込まれてくる結果、単語の概念階層(深さ)の影響が小さくなり、特許発明の技術的範囲の広さ、文法上の構造単位の大小関係(面積)とより相関が高くなります。即ち単語の概念階層の影響を無視して文法上の構造単位の大小関係(格成分数)のみで特許発明の技術的範囲の広さを高精度に数値化することが可能となります。

図3

従って、格成分数は、特許発明の広さを測定する上で、従来の文字数や、上述した名詞句数と比較して格段に抽出精度を向上でき、明細書作成者によるデータの誤差を極力低減させることが可能となります。そして、この格成分数による分析では、分析対象の特許の技術分野がより近くなるにつれて、その数値化精度を格段に向上させることができます。このため格成分数は、特許の広さに基づく権利の有効活用性を評価する上で最も論理性の高い指標であるといえます。

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