
外国特許出願では、同一の国に出願するにしても、パリルートと、PCTルートの何れのルートで出願するかを選択することができます。また、外国商標出願では、単独で外国に出願する以外に、マドプロ(マドリッド・プロトコル)ルートで出願するかを選択することができます。
何れのルートで出願するかは、出願国数や、各出願国での特許性、事業実施可能性、事業収益等を定量的に見積もっていく必要があり、費用対効果の観点からケースバイケースで判断していくことになります。弊所における出願国の選定支援サービスでは、事業のグローバル戦略を先ずはインタビューさせていだいて状況を詳しく把握させていただき、何れのルートが効果的かを助言させていただきます。パリルート、PCTルート、マドプロルートの概要は下記に示します。
パリルートは、日本国における出願を基礎として優先権主張し、米国、欧州、アジア等の各国に出願するルートです。日本の出願日を基準として特許であれば12ヶ月以内、意匠、商標であれば6ヶ月以内に各国に出願することで、日本に出願した日を基準として各国内で審査が行われる点が有利になります。
PCTルートでは、国際受理官庁に出願書類を提出する(国際出願といいます)ことにより、全てのPCT改名国に同時に出願したことと同等の効果を得ることができます。国際出願後、数ヵ月後に国際調査報告書(サーチレポート)をもらうことができ、これに基づいて各国への国内移行の判断をすることができます。また、優先日(最先の出願日)から30ヶ月以内に国内移行の判断を行えばよく、時間的な猶予も生まれます。一般に3カ国以上の国において権利取得を希望される場合にお薦めのルートです。
マドリッド・プロトコルルートとは、日本に既にした商標出願又は登録された商標権を基礎として、権利を取得したい国を指定してWIPO国際事務局に日本国特許庁を経由して国際出願するルートです。一つの出願により複数の国で商標権を取得できるため、手続が簡単で、しかも費用を安く抑えることができるメリットがあります。
近年、特許審査ハイウェイ(PPH)が普及しつつあります。特許審査ハイウェイを有効活用することで外国における特許権の取得をより効率的かつ安価に行うことが可能です。
先ず日本国内に基礎出願を行い、出願と同時に早期審査を行います。その結果、1年以内に日本国において権利取得の見込みが出てきます。その次に優先日から1年以内にPCT出願又はパリ優先権出願を行い、各国に移行する際にPPH申請を行います。これにより、外国においてオフィスアクションが通知されることなく、そのまま権利化を実現することが可能となります。当事務所では、PPHを利用した世界特許網の取得を強力にサポートさせていただきます。
<日本から米国へパリルートで出願する際にPPHを利用する例>
<日本から米国へPCTルートで出願する際にPPHを利用する例>
(特許庁ホームページから)